笑顔を生み出すレクリエーションの力 ―産学連携で学ぶ「楽しさを引き出すケア」実践研修をレポート―

公開日:2026年3月16日

エクセレントグループでは、利用者様が日々をいきいきと過ごしていただけるよう、レクリエーションの充実に積極的に取り組んでいます。

レクリエーションは単なる余暇活動ではなく、利用者様の心と身体を動かし、笑顔や会話を生み出す大切な時間です。日々の生活の中で「楽しい」「嬉しい」と感じられる瞬間が増えることは、生活の質の向上にもつながります。こうした考えのもと、当社では職員のレクリエーションスキル向上にも積極的に取り組んでいます。

その一環として今回、徳島文理大学 人間生活学部 児童学科岡山千賀子教授(NPO法人徳島県レクリエーション協会)を講師に迎え、産学連携によるレクリエーション研修を開催しました。

本研修は、徳島エリアの介護事業所に所属する入社1~3年目の職員やレクリエーションに苦手意識を持つ職員を対象に、全4回のプログラムで実施。「レクリエーションの楽しさを知る」「実践方法を学ぶ」「現場で活かす」という段階的な構成で、座学と実技を組み合わせながら学びを深めていきました。

EXMagazineでは、研修最終日の実技を中心に、研修の様子をご紹介します。

レクリエーションの本当の目的とは

研修の中で岡山教授が繰り返し伝えられていたのは、レクリエーションの本来の目的です。

それは、「楽しさを通して笑顔やコミュニケーションを生み出すこと」です。

介護の現場では、レクリエーションを「何か活動を提供する時間」として捉えてしまうことも少なくありません。しかし本来は、参加する人が自然と笑顔になり、心がほぐれ、人と人との関わりが生まれる時間です。

岡山教授は次のように語られました。

レクリエーションは楽しむものです。
利用者様が生き生きと過ごしていただくためには、まずスタッフ自身が楽しむことが大切です。

職員が楽しみながら関わることで、その雰囲気が利用者様にも伝わり、自然と笑顔が広がっていきます。今回の研修は、レクリエーションの技術だけでなく、その本質を改めて見つめ直す機会にもなりました。

場の雰囲気を作る「アイスブレイク」

実技研修では、まず参加者同士で行うアイスブレイクからスタートしました。

最初に行われたのは「進化じゃんけん」です。

参加者は全員「ゴキブリ」からスタートし、じゃんけんに勝つごとにアヒル、ゴリラ、そして人間へと進化していくユニークなゲームです。負けると退化するため、会場のあちこちで歓声や笑い声が上がりました。

それぞれの生き物になりきって動くという少しユーモラスなルールが、最初は緊張していた参加者の表情を一気に和らげます。

こうした「アイスブレイク」は、レクリエーションの場づくりにおいて非常に重要な役割を持っています。最初に場の雰囲気が温まることで、その後の活動にも自然と参加しやすくなるのです。

回想や会話を引き出す「買い物拍手」

続いて体験したのは「買い物拍手」というゲームです。

講師がテンポよく魚の名前を読み上げ、「お魚屋さんに売っているもの」の時だけ拍手をするというシンプルなルールですが、例えば「サケ、マグロ、サバ、タイ」と続いた後に「金魚」といった、“ひっかけ問題”が出てくると、思わず笑いが起こります。

このゲームの魅力は、単に盛り上がるだけではありません。

魚の名前をきっかけに、
「昔はこの魚をよく買ったね」
「この魚は煮付けにすると美味しいよ」

といった思い出話が自然に生まれることがあります。

レクリエーションは、利用者様の記憶や経験を引き出す「回想」のきっかけにもなり、会話やコミュニケーションを深める大切な時間となります。

誰でも参加できるニュースポーツ

研修の後半では、体力に自信がない方や車椅子の方でも安心して楽しめるニュースポーツを体験しました。

例えば、花の形をした的に向かって用具を投げるゲーム(ゲームコスモス)では、的に当たると鈴の音が鳴る仕組みになっており、視覚に障害がある方でも達成感を感じることができます。

また、紐の両端にボールが付いた道具をはしご状のバーに引っ掛けるゲーム(ラダーゲッター)では、思わぬところでボールが引っかかり、会場から歓声が上がりました。

レクリエーションで大切なのは、誰かだけが楽しむのではなく、誰もが参加できることです。

身体状況に関わらず参加できる工夫を知ることで、現場でのレクリエーションの幅は大きく広がります。

指先を動かす工作レクリエーション

研修の最後には「紙コップ鳥」という工作にも取り組みました。

紙コップと色紙だけで作れるシンプルな工作ですが、
・ハサミで切る
・紙を折る
・パーツを貼る

といった工程は、指先を使う良いトレーニングにもなります。
完成した作品を手にした職員たちの表情からは、自然と笑顔がこぼれていました。

身近な材料で気軽に実践できるレクリエーションは、日々の活動に取り入れやすく、利用者様の楽しみづくりにもつながります。

「引き出し」を増やすことが笑顔につながる

研修に参加した職員からは、次のような声が聞かれました。

  • とても緊張していたのですが、周りの皆さんが笑顔で参加していて、その雰囲気の中で自分自身も自然と笑顔になれました。最初は「ちゃんとできるかな」と不安もあったのですが、気がついたら夢中になっていて、本当に楽しかったです。研修なのですが、良い意味で「遊んでいるような感覚」で参加できたのが印象に残っています。
     
  • 「買い物拍手」がとても印象に残っています。魚の名前が出てくるので、「昔よく食べていた」「こんな料理を作っていた」というような思い出の話につながるところがいいなと思いました。利用者様の言葉や思い出を自然に引き出せるレクリエーションだと思います。普段の会話ではなかなか聞けないようなお話が出てくることもあると思うので、利用者様のことをより深く知るきっかけにもなりそうです。会話が広がるレクリエーションは、現場でもすごく活かせると感じました。
     
  • 材料や道具などをいくつか用意して、利用者様ご自身に「選んでいただく」ということも大事なんだと気づきました。自分で選ぶことで、参加する楽しみや達成感も生まれるのではないかと思います。
     
  • 改めて思ったのは、利用者様の笑顔を見るためには、スタッフ自身が楽しんで取り組むことが大切なんだということです。私自身、日々の業務の中でレクリエーションを考えることがあるのですが、「何をしたらいいんだろう」と悩むことも多くて。今回の研修を通して、まずは自分の中にたくさんの「引き出し」を持っておくことが大切なんだと感じました。

職員自身が楽しみながら学ぶことで、現場でのレクリエーションの幅も広がっていきます。

笑顔が生まれる時間を大切に

研修の最後に岡山教授は、レクリエーションの大切な役割について改めて語られました。

レクリエーションの目的は、利用者様が「楽しい」と感じ、自然と笑顔や笑いが生まれる時間をつくることです。そのためには、まずスタッフ自身が明るく前向きな気持ちで関わることが大切です。

また、レクリエーションはコミュニケーションのきっかけを生み出す場でもあります。
普段の生活では、隣の人とハグをしたり、手を合わせて動きを楽しんだりする機会はほとんどありません。しかしレクリエーションの場であれば、そうしたやり取りも自然に行うことができ、楽しみながら人とのつながりを感じることができます。

利用者様がいきいきと過ごしていただくためには、こうした楽しい関わりを生み出す「引き出し」を増やしていくことも大切です。今はインターネットなどでも多くのレクリエーションの情報が得られる時代です。新しいアイデアを調べたり、研修に参加したり、さまざまな場所で学びながらネタを増やしていくことで、現場での関わり方もより豊かなものになっていきます。

ネタをたくさん持っている人ほど、現場で魅力的なスタッフになるんです。日々精進ですね。

岡山教授の言葉に、参加した職員たちも大きくうなずいていました。

レクリエーションは、人と人をつなぎ、笑顔や会話を生み出す大切なコミュニケーションの場です。
これからも私たちは、現場の工夫と学びを積み重ねながら、利用者様の笑顔につながる取り組みを続けてまいります。